某先生アシスタントのお姉さまたちとランチ。付き合いは長いのに、向かい合って顔を見たのは初めてかも…ちょっと照れる。きれいな線が描ける人たちで、尊敬してます。彼女たちは、ちょっぴりお嬢様な雰囲気もあって、家のこととか…聞いてみたい気もするんだけど、いつも世間話で終わっちゃう。そういう不思議なオーラがあるのです。

 アシスタントの仕事って、本当に特殊で、
1)拘束時間(徹夜の有無OR時間きっちり)
2)仕事内容(トーン貼りだけ・背景係専門とか、小物から人物まで全般とか)
3)職場の環境(ちゃんとした事務所とか、台所のテーブルだったりとか、喫煙不可とか)
4)師弟関係(先生と呼ぶ/呼ばないとか、ボーナスのシステムの有無とか)

といった環境が、先生によってものすごく変わる。先生が違うと、もう、ぜーんぜん別の仕事だ。

 だから、同じ先生のところでアシスタントをした人たちって、分かり合えるような、クラスメイトみたいな、不思議な連帯感がある。

 先生によって、ビックリするような話があるのも面白い。そういう話って、アシスタントのあいだでクチコミで広がっていく。そして、伝説っぽい話が出来上がっていくのだ。

 「アシスタント物語」みたいな漫画があるときっと面白いと思うのだけど、そういったものが出てこないのは、たぶんその話を読むと「あの先生の話だ」っていうのがバレちゃうから…だろうなあ。

 渡りの漫画アシスタント職人さんの話を聞いたら、けっこう口が堅くて(笑)、やっぱりプロの渡り職人さんは違うなあって思った。漫画界、けっこう狭いから、あんまりベラベラしゃべると嫌われるのでしょう。

 私のまわりのアシスタント経験者の話を聞くと、青年誌の先生と女性誌の先生はやっぱり毛色が違う。女性の人でも、青年誌向けの漫画を描いてる人は、やっぱりオトコっぽい。ユンケルがぎっしり冷蔵庫に入ってたりとか。

 でもなんだかんだいって、アシさせてもらって、学んだことは多い。やらなくても漫画家になれるし、やったからって漫画家になれるわけでもないものですが。単純に「人の仕事のやり方を間近に見る」ことって、なかなかないから。

 まあ、楽しくおいしいお昼ご飯を食べたあとに、そんなことをつらつらと考えてみたというわけでございます。