左手で書く先日、3年生になってはじめての学校公開日のときに「クラスに、左利きはふたり…」と数えてたら、Y氏にあきれられた。「ずいぶん、たん子の左利きを気にしてるようだよね?」って。

気になるっていうか、興味があるっていうか。たん子は、箸も鉛筆も左で使う。


 私自身は右利きなので「左利きってカッコいいかも」くらいにしか思ってなかったのだけど、実際に自分の子どもが左利きだと、そうも言ってられない。

扇子ぶっこわし事件 はじめて「左利きって、右利きと違うんだ」と、ハッとしたのは、扇子を壊しちゃったとき(扇子って、右手で開くように作られている)。

 ほとんどの道具は、右利き用に作られていて、レフティはその世界に合わせて暮らす必要があるんだ、と、気づいた一件。

コマはどっちの手でまわす?

 保育園のころから、道具を使う遊びのときは、こっそりみんなの様子を見て、自分用にアレンジしていたねえ。コマ回しは、結局できるようにならなかったんだけど…。コマにひもを巻く向きも、逆向きになるんだよね。

 カメラのシャッターボタンとか、自転車を押すとき、缶切り、定規、急須、がま口、流し口のついたおたま、トランプや10マス計算(数字が隠れる)などなど、不便なことは、たくさんある。やっぱり、小学校に入って、不便なことは増えてきたと思う。どれも「ほんのちょっと」だけ不便で、本人が我慢すればいいくらいのことなんだけど、それがすべての動作に積み重なってくるのは、大変じゃないのかなあ…と、少し心配する気持ちがある。

 もちろん、脳の使い方が違うせいか、ハッとするような才能を見ることも多い。たん子の場合、色の使い方と、「四角に切れ」っていうパズルが異常に得意なこと。恐ろしいほどの直感を見ることがある。

 3年生になって、お習字の授業があるらしい。「どっちの手で書くの?」と尋ねたら「左で。左じゃないと、字は書けないよ」と。左手の習字はけっこう苦労するらしいけど、やっぱり本人にやらせてみて、自分で決めるしかない。自分でやってみて、右の人と同じようにやっていることもある(はさみ、自転車など)。

左利き「左利きは器用でいいね」「両手使えるようになるといいね」と言われることが多いけど、実際育ててみて、不器用な人もいるし、両手使える人ばっかりでもない、ということが分かった。

 今は、利き手の矯正はほとんどやらないみたいだけど、やってもやらなくても、親にとって「これで良かったのかな?」っていう思いは残ると思う。

 ただ、左利きだからって、遠慮したりあきらめたりすることはないよ、と伝えてあげられたらいいかな。まあ、結局のところ、ハラハラしながら見守っていくくらいしかできないとも言えるんだけど。